1第二款 海より起る獣 2我が見し獣は豹の如く、其足は熊の足の如く、其口は獅子の如くにして、龍は之に己が座と大いなる権力とを與へたり。 3我又見たるに、其一の頭死ぬばかり傷つけられたれど、其死ぬべき傷醫されしかば、全世界感嘆して此獣に從ひ、 4此獣に力を與へし龍を禮拝し、又獣を禮拝して言ひけるは、誰か此獣の如き者あらんや、誰か之と戰ふを得んや、と。 5而して大言と冒涜とを吐く口を與へられ、四十二箇月の間働く権力を與へられ、 6然て口を開きて神を冒涜し、其御名と其幕屋と天に住める者とを冒涜せり。 7又聖人等と戰ひ、且之に勝つ事を許され、諸族、諸民、諸語、諸國に對する権力を與へられ、 8斯て地上に住める人にして、世の初より殺され給ひたる羔の生命の名簿に名を録されざる人、皆彼獣を禮拝せり。 9人耳あらば聞け、 10擒に牽きし人は自ら擒に往くべく、剣にて殺しし人は剣にて殺さるべし、聖人等の忍耐と信仰と茲にあり。 ¶ 11第三款 地より起る獣 12先の獣の前に於て、総て之と等しき力を顕し、地と地に住める人とをして、死ぬばかりの傷の醫されし曩の獣を禮拝せしめたり、 13又人の眼前に天より火を地に下さしむる程の大いなる徴を為し、 14獣の前に為すことを得しめられたる徴を以て、地に住める人を惑はし、之に勧めて、刀の傷はありながら尚生存へし獣の像を造らしめ、 15此獣の像に生命を與へ、且言ふことを得させ、此獣の像を拝せざる人を殺す力を與へられたり、 16又大小と貧富と自由の身と奴隷とを問はず、凡ての人に、或は右の手或は額に印章を受けしめ、 17此印章若くは獣の名、若くは其名の數を記されたる人々の外、売買する事を得ざらしめたり。 18智恵は是に於てか要せらる、知識ある人は獣の數を算へよ、獣の數は人の數にして、其數は六百六十六なり。 ¶