1第一款 キリストは大いに天使等に優り給ふ 2此末の日に至り、曾て萬物の世嗣に立て、又之によりて世を造り給ひたる御子を以て、我等に語り給へり。 3彼は神の光榮の輝、其本體の印章に在して、己が権能の言を以て、萬物を保ち、罪の潔を為し給ひて、天に於て稜威の右に坐し給ふなり。 4彼が天使等に優る者と成り給へるは、猶其受け給ひし御名の彼等に優れるが如し。 5蓋神曾て天使等の敦れに斯は曰ひしぞ、[曰く]、「汝は我子なり、我今日汝を生めり」と、又「我彼に父たり彼我に子たらん」と。 6又冢子を更に世に入れ給ひし時に曰く、「神の天使皆之を禮拝すべし」、と。 7而して天使等に就きては、「彼風を其使者と為し、焔を其の役者となし給ふ」と言へるに、 8御子に就きては、「神よ、汝の玉座は世々に在り、汝の王位の笏は義の笏なり、 9汝正義を愛し不義を憎めり、故に汝の神たる神は、喜の油を汝が同輩に優りて汝に注ぎ給へり、」と言ふ。 10又曰く、「主よ、汝初に地を据置き給へり、而して諸の天も御手の業なり、 11是等は亡びん、然れど汝は永存し給ひ、是等は皆衣服の如く古びん。 12汝之を上衣の如く畳み給はんに、是等は變るべしと雖も、汝は同じきものにして變る事なく、汝の齢終なかるべし」と。 13然るに曾て天使等の敦れに向ひてか、「我汝の敵を汝の足台と成らしむるまで我右に坐せよ」、と曰ひし事ある、 14天使は悉く役者と成る霊にして、救霊の世嗣を受くべき人々の為に役者として遣はさるるに非ずや。 ¶