1第三項 律法の下には奴隷なれども、信仰によりては自由の身なり 2父の定めたる時までは、後見人及び治産者の下に在り。 3斯の如く、我等も小兒の中は世の小學の下に事へつつありき。 4然れど満期の時至りて、神は御子を女より生りたるもの、律法の下に生りたるものとして遣はし給へり。 5是律法の下に在りし人々を贖ひ、我等をして子とせらるることを得しめ給はん為なり。 6斯て汝等が子たるによりて、神は、アバ、父よ、と叫び給へる御子の霊を、汝等の心に遣はし給へり。 7然れば最早奴隷に非ずして子たるなり、子たる上は又神によりて世嗣たるなり。 8彼時には汝等神を知らず、生來神たらざるものに事へて奴隷たりき。 9然れど今は既に神を識り、而も亦神に識られたるに、如何ぞ再び弱く乏しき小學に返りて、更に之に事へんとはする。 10汝等は日と月と季節と年とを守る。 11我汝等の為に氣遣ひ、或は汝等の中に働きし事の無益とならんことを恐る。 12兄弟等よ、我も汝等の如くに成れば、希はくは汝等我が如くに成れ。汝等は曾て我を害せし事なし、 13却て知れる如く、我が初め福音を汝等に述べし時、身體の虚弱を以てし、其身體汝等の試となれるを、 14卑しむ事なく嫌ふ事もなくして、我を神の使の如く、キリスト、イエズスの如くにさへ承けたりき。 15汝等の主張せし福何處にかある、我汝等の為に證明す、為し得べくんば汝等己が目をも抉りて我に與へしならん。 16然れば我汝等に眞を語りて汝等の敵となりたるか、 17彼人々は汝等の為に盡力すれども、是好意に非ず、己が為に盡力せしめんとて、汝等をして離れしめんと欲せるなり。 18絶えず善事に就きて盡力せらるるは宜きことながら、我が汝等の中に在る時のみにては足らざるなり。 19我が小子よ、汝等の中にキリストの形造られ給ふ迄は、我汝等の為に陣痛に遇へり。 20望むらくは汝等の中に在りて聲音を變へん事を、其は汝等に就きて當惑すればなり。 21律法の下に在らんと欲する者よ、我に語れ、汝等律法を聞きし事なきか、 22蓋録して、アブラハムに二人の子ありしに、一人は奴隷の婦よりし、一人は自由の身なる婦よりせり、とあり。 23奴隷の婦の子は肉に從ひて生れしに、自由の身なる婦の子は約束によりて生れたり。 24是等の事の言はれしは前表にして、彼婦は兩約を斥す、一はシナイ山よりして子を奴隷に生む、之即ちアガルなり。 25蓋シナイ山はアラビアに在りて、今のエルザレムに當り、其子等と共に奴隷なり。 26然れど上なるエルザレムは自由の身にして、之ぞ我等の母なる。 27蓋録して、「石女にして生まざる者よ、喜べ、産せざる者よ、聲を揚げて呼はれ、其は獨り殘されたる婦は、夫ある者よりも子多ければなり」、とあり。 28兄弟等よ、我等はイザアクの如く約束の子なり、 29然て彼時肉によりて生れたりし者が、霊によれる者を迫害したりし如く、今も尚然るなり。 30然れど聖書は何とか言へる、「奴隷の婦と其子とを遂払へ、其は奴隷の婦の子は自由の身なる婦の子と共に世嗣たるべからざればなり」、とあり。 31然れば兄弟等よ、我等は奴隷の婦の子に非ず、自由の身なる婦の子なり、キリストの我等を贖ひ給へるは自由の為なり。 ¶