1総て軛の下に在る奴隷は、其主人を全く尊ぶべきものと思ふべし、是主の御名と教との罵られざらん為なり。 2信徒たる主人を有てる者は、兄弟なりとて之を軽んずべからず、却て慈善を共にせる者が信徒にして己之に愛せらるるにより、一層善く事ふべし。是等の事を教へ且勧めよ。 ¶ 3第三項 結末の教訓 4是何事をも識らずして自ら驕り、病的に議論と言争とを好む者なり、是より起るは嫉妬、口論、侮辱、邪推、 5又精神腐敗し眞理缺乏して、敬虔を利益の道なりと思ふ人々の争等なり。 6抑足る事を知れる敬虔こそは大いなる利益の道なれ、 7其は我等が此世に來りし時何物をも携へざりしかば、去る時亦何物をも取る能はざるは疑なき所なればなり。 8衣食だにあらば、我等は其にて満足すべし。 9蓋富まんと欲する人々は、誘惑と惡魔の罠とに陥り、人を堕落と滅亡とに沈むる、愚にして有害なる種々の慾望に陥る。 10即ち利慾は一切の惡事の根なり、或人々は之が為に信仰に遠ざかりて迷ひ、多くの苦を以て己を刺貫けり。 11然れど神の人よ、汝は是等の事を避けて、正義、敬虔、信仰、慈愛、忍耐、柔和を求め、 12信仰の善き戰を戰ひて永遠の生命を捉へよ。其は之に召されて、多くの證人の前に之が為に善き宣言を為したればなり。 13我萬物を活かし給ふ神の御前、及びポンシオ、ピラトの時に立證して善き宣言を為し給ひしキリスト、イエズスの御前に、汝に命ず、 14我主イエズス、キリストの顕れ給ふまで、穢なく咎なく掟を守れ、 15其時期至りては、至福唯一の主権者、諸王の王、総て主たる者の主はイエズス、キリストを顕し給はんとす、 16彼は獨不死を有し、近づくべからざる光に住み給ひ、一人も曾て見奉りし事なく又見奉る能はざる者に在し、尊榮と永遠の権能と之に歸す、アメン。 17汝此世の富者に命ぜよ、驕る事なく、確ならぬ富を恃まず、快樂の為にも萬物を豊に供給し給ふ活き給へる神を頼み奉り、 18善を為して善業に富める者と成り、快く施し且分與へ、 19眞の生命を捉ふる様、将來の為に善き資本を蓄へん事を。 20嗚呼チモテオよ、托せられしものを守りて、世俗の空言と有名無實なる學識の反論とを避けよ、 21或人々は之を粧ひて信仰の的を外れたるなり。願はくは恩寵汝と共に在らん事を、アメン。 ¶