1第四項 パウロ自己の弁解 2然て分配者に要求する所は其忠實なる事なれど、 3我は汝等により、或は人の裁判によりて是非せらるることを、聊も意と為ず、又自ら是非する事をも為ざるなり。 4蓋良心に何の咎むる事はなけれども、之に由りて義とせらるるには非ず、我を是非し給ふ者は主なり。 5然れば汝等主の來り給ふ迄は、時に先ちて是非すること勿れ、主は暗夜の隠れたる所をを照らし、心の謀を發き給ふべし、其時面々に神より誉を得ん。 6兄弟等よ、我が是等の事を、我とアポルロとに引當てて云ひしは、是汝等の為、即ち我等の例を以て、録されたる以外に、一人を揚げ一人を蔑げて誇らざらん事を汝等に學ばしめん為なり。 7蓋汝を差別する者は誰ぞや、汝の有てる物にして、貰はざりし物は何かある、貰ひしならば、何ぞ貰はざりしが如くに誇るや。 8汝等既に飽足れり、既に富めり、我等を措きて王となれり。然り汝等王たれかし、然らば我等も汝等と共に王たるを得ん。 9蓋我想ふに、神は使徒たる我等を、後の者、死に定まりたる者として見せ給へり。即ち我等は全世界、天使等にも人間にも観物とせられたるなり。 10我等はキリストの為に愚者なるに、汝等はキリストに於て智者なり、我等は弱くして汝等は強く、汝等は尊くして我等は卑し。 11今の時に至る迄も、我等は飢ゑ、又渇き、又素肌なり、又頬を打たれ、又定まれる住所なく、 12又手業を営みて勞し、詛はれては祝し、迫害せられては忍び、 13罵られては祈り、今に至る迄も世の芥、衆人の捨物の如くになれり。 14我が斯く書記せるは、汝等を辱めんとには非ず、唯我至愛なる子として誡むるのみ。 15蓋汝等キリストに於て、師は一萬ありとも父は數多からず、其は福音を以て汝等をキリスト、イエズスに生みたるは我なればなり。 16故に我汝等に希ふ、(我がキリストに倣へる如く)汝等も我に倣へ。 17我は之が為に、主に於て忠實なる我至愛の子チモテオを汝等に遣はしたるが、彼はキリスト、イエズスに於る我道、即ち至る處の各教會に我が教ふる所を、汝等に思出さしめん。 18或人々は我汝等に至らずとて誇れども、 19主の思召ならば、我は速に汝等に至り、誇れる人々の言を措きて其實力を知らんとす。 20是神の國は言にあるに非ずして實力にあればなり。 21汝等は敦をか望める、我が鞭を以て汝等に至らん事か、将愛と温和の心とを以て至らん事か。 ¶